カキは、性転換をする生き物です。
牡蠣の「牡」の字は、「オス」(雄)であり、牡蠣の「蠣」の字は、「カキ」ですが、
牡蠣は、オスのときも、メスのときも、オスでもメスでもないときもあります。
これは、牡蠣の性別の判断が難しいため、オスしかいないと思われていたためだと考えられています。
牡蠣は、繁殖期に、オスとメスに分かれて生殖を行い、
繁殖期が過ぎると、中性化してしまう、変わった習性を持っているのです。
目次
1. カキの語源
2. カキの歴史
3. カキの種類
4. カキの旬
5. カキの選び方
1. カキの語源
カキ(牡蠣、牡蛎|oyster、オイスター)は、古くから、日本を含めた、世界各地の沿岸地域の食用として、
また、カキの貝殻「ぼれい」(oyster shell)は、肥料や養鶏飼料、薬品や化粧品、建築材料など、幅広く利用されています。
カキの語源は、海の岩にくっついた貝を「かき落として取る」ことから「カキ」という名前が付いたとする説や、
殻を「かき砕いて取る」ことから「カキ」になったという説など、
カキを取るための動作に、その語源を求める見解が多いです。
カキは、乳白色の色合いと、栄養が豊富であることから「海のミルク」と呼ばれることもあります。
2. カキの歴史 ~日本のカキの生食の歴史は意外にも浅い~
カキの食用としての歴史は、非常に古く、
日本では、縄文時代の頃から食用として食べられていました。
これまでに発見された多くの「貝塚」(shell mound、昔の人が食べた貝の殻などが堆積したもの)からは、たくさんのカキの殻が見つかっており、
ハマグリの次に多く食べられていたと考えられています。
ところが、日本のカキの生食の歴史は意外にも浅く、
カキを生で食べるようになったのは、欧米の文化の影響を受けた明治以降であり、
魚介類の生食を嫌う欧米の方で先に、カキの生食文化が発達しています。
魚介類の生食文化が欧米から輸入された、珍しい例と言えるでしょう。
3. カキの種類 ~日本のカキと言ったらマガキ~
「マガキ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)
カキは、岩などの硬い基盤に着生し、ほとんど動かないため、筋肉が退化し、身は内臓がほとんどを占めています。
基盤や波の当たり具合など、育つ環境によって形が変化するため、外見による判断が難しく、その種類を判別できないこともあるそうです。
食用にされるカキは、
- マガキ(真牡蠣、japanese oyster)、イワガキ(岩牡蠣)などの「マガキ属」と、
- イタボガキ(板甫牡蠣)、ヨーロッパヒラガキ(欧羅巴平牡蠣)などの「イタボガキ属」に大別されますが、
その中でも、マガキは最も一般的な種で、日本のカキと言えば、この種類です。
4. カキの旬 ~花見過ぎたらカキ食うな~
カキは、産卵期に性巣が非常に増大するため、この時期のカキは食用とはされていません。
マガキの場合、「英名にrのつかない月」、すなわち、5月、6月、7月、8月が、産卵期であり、食用には適さないとされています。
- January
- February
- March
- April
- May
- June
- July
- August
- September
- October
- November
- December
一方、マガキの旬は、旨味成分であるグリコーゲンの含有量が増える「秋~冬」とされており、冬の寒い時期に流通します。
しかし、その例外もあります。
近年では、バイオ技術で生殖機能をなくした「3倍体カキ」が開発され、市場に流通するようになりました。
生殖機能のないカキは、性巣が発達しないため、一年中食べることができ、
本来は産卵に使う栄養を、成長するために使い続けますので、大きくなるまでの期間が短く、さらに通常より大きく成長します。
その他にも、世界中から、旬のカキが、日本に輸出されるなど、
いずれにしても、必ずしも上の基準に当てはまるというわけではないみたいです。
5. カキの選び方 ~「生食用」と「加熱用」の違い~
スーパーなどの魚介売り場には、「生食用」と「加熱用」の2種類のカキが置かれています。
値段を見ると、「生食用」の方が明らかに高く、新鮮な気がして、食べ方にかかわらず「生食用」を買ってしまう方もいるかもしれません。
ですが、「生食用」と「加熱用」は、そもそも鮮度で区別されているわけではありません。
カキの育った海域と、それに伴う、細菌の濃度です。
細菌濃度の低い、沖(岸から離れた所)の海域で育ったカキが「生食用」に、
栄養濃度の高い、岸(水際)の海域で育ったカキが「加熱用」となります。
カキは、一日に300リットルもの海水を吸い込み、その成分を吸収し、成長します。
そのため、育った海域の水質が、カキの品質に結びつくのです。
沖のカキは、キレイな海水を吸い込んで、細菌の少ないカキに成長しますし、
岸のカキは、肥えた海水を吸い込んで、栄養価の高いカキに成長します。
カキは、食中毒を起こす可能性の高い食材です。
カキが原因となる食中毒は、カキの体内にある細菌が繁殖することによって起きます。
そのため、保健所が定期的に海域の水質を検査し、「生食用」として販売できるカキの海域を指定しているのです。
(※沖の海域でも、保健所の指定された海域でなければ、「生食用」として販売できません)
そして、「生食用」のカキは、殺菌した海水に数日間入れて、絶食させ、
砂や老廃物と同時に、細菌も吐き出させます。
こうして、生で食べても安全なレベルにまでもっていくのですが、その反面、
- 身が痩せ細り、カキ本来の風味が失われてしまいます。
- 「加熱用」にはないプロセスを経る必要があるので、一段と値が張ります。
一方、「加熱用」のカキは、カキの体内にある食中毒菌は、熱に弱いので、
加熱処理することで、食中毒の心配がなくなります。
「生食用」のようなプロセスを経る必要がないので、
身は太く、栄養価も高く、風味が効いて、とても美味しいです。
もちろん、生ガキには生ガキの良さがあります。
例えば、あの独特なノドゴシとか。
つまりは、調理に合わせてカキを選ぶべきです。
生で食べるなら「生食用」、加熱するなら「加熱用」。
カキが「生食用」と「加熱用」に分かれているのには、ちゃんとした理由があったんですね。
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