「写真を撮るので、○○と言って下さい」
日本では、写真を撮るときに、よく「はい、チーズ」と言いますよね?
私も写真を撮るときに、ついつい言ってしまいがちです。
ですが、本来、○○は撮られる側が言うべきで、撮る側はその合図を出すだけでいいんです。
ここに、「はい、チーズ」の秘密が隠されています。
目次
1. 「チーズは笑顔を作ります」
2. 世界の「はい、チーズ」
1. 「チーズは笑顔を作ります」 ~かけ声は、笑顔を生み出す魔法の言葉~
カメラ(camera)の発祥国であるフランス。
フランスは、「一つの村に、一つのチーズがある」と言われるほどのチーズ(cheese|フランス語ではフロマージュ〈fromage〉)大国でもあります。
世界におよそ3000種類ほどあるとされているチーズのうち、400種類以上のチーズがフランス原産。
世界的に有名な「カマンベール」(camembert)など、チーズに原産地の地名がついているものも数多くあります。
その影響からか、
アメリカやイギリスなどの英語圏、その他の国では、写真を撮るときに、
撮る側が「Say cheese!」(チー〈ズ〉と言って!)と合図を出し、
撮られる側が「Cheese!」(チー〈ズ〉!)と返す、風習があります。
これは、cheeseの「チー」を発音するときに、「イー」と口元が横に広がり、にこやかな表情になるからです。
この風習が、日本に広がったのは、1963年(昭和38年)。
雪印乳業のチーズのCMが、そのきっかけとなりました。
日本人の女性モデルが、カメラの前で笑顔を作れずにいると、外国人のカメラマンが「Say cheese, please」。
隣にいた日本人のカメラマンが「チーズって言ってごらん」と、アドバイスをします。
そして、「チーズ」と言った、その女性モデルには、自然な笑顔が生まれ、
ここで、キャッチフレーズ「あなたもチーズと言いましょう。チーズは笑顔を作ります」。
このCMは、
チーズの需要が伸びた時期、個人用カメラが普及した時期とうまく重なり、
「はい、チーズ」という写真撮影のかけ声を、日本中に広めました。
本来であれば、撮られる側が「チー〈ズ〉」(z)と返すはずですが、
日本語の発音では、チーズの「ズ」(zu)で、口元が尖った形になってしまうので、
撮られる側は沈黙することで、定着したものと考えられています。
つまり、
日本で、写真を撮るときに、「はい、チーズ」と言うのは、笑顔を生み出すためであり、
撮られる側が「チーズ」と返さないのは、cheeseの発音が、日本語ではチーズの「ズ」が強調されて、口元が尖った形になってしまうから、
ということです。
ちなみに、最近では、「はい、チーズ」と呼びかけると、写真が撮れるアプリなんてのもあるそうです。
かけ声はともかく、シャッターボタンを押すときの手ぶれが防げて、使えそうですね。
2. 世界の「はい、チーズ」 ~かけ声の違いは、文化、言語、発音による違い~
「世界の言語」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)
「はい、チーズ」のかけ声は、日本を含めた、世界中で行われており、
その地域の文化、言語、発音によって、様々なバリエーションがあります。
よく使われるかけ声について、言語別にまとめてみましたので、
グローカル(glocal|global〈世界的〉かつlocal〈局地的〉)に写真を撮るときの参考にしていただければ幸いです。
「○○語」 |
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「英語」 |
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「フランス語」 |
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「ドイツ語」 |
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「オランダ語」 |
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「イタリア語」 |
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「スペイン語」 |
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「インドネシア語」 |
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「タイ語」 |
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「中国語」 |
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「韓国語」 |
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食べ物、飲み物が多いですね。
日本では、ほかにも、
撮る側が「いち足すいちは?」と合図を出し、
撮られる側が「にー」と返す、
あれ、よくやりますよね。
こちらは、「はい、チーズ」と違って、日本独自のもので、
「にー」って笑顔が生まれて、日本に合っていますし、私も好きです。
写真撮影のかけ声は、笑顔を生み出すためにあり、
その地域の文化、言語、発音によって異なっているということでした。
以上です。
コメント
1958年にイタリアでテレビ放送が始まった、ネズミのトッポ・ジージョが主人公のイタリアの人形劇トッポ・ジージョの影響だと思っていましたが、それは間違いでしょうか。トッポ・ジージョはネズミなのでチーズが大好きで、ガールフレンドが彼の写真を撮るときに、チーズと言ってやると、笑顔になって、うまく写真が撮れる、という話でした。