日本のバラとも呼ばれる「ツバキ」(椿|camellia、カメリア)の花言葉は、「控えめな美しさ」(Beauty un-pretentious、ビューティー アン-プリテンシャス)です。
そして、ツバキ科ツバキ属の「チャノキ」(茶の木|camellia sinensis、カメリア シネンシス)の花言葉は、「追憶」「純愛」を意味します。
目次
1. お茶とは ~お茶の起源と語源~
お茶(cha|tea)とは、「チャノキ」の葉や茎を加工して作られる飲み物で、
コーヒーと並び、嗜好(しこう)飲料として、古くから嗜(たしな)まれてきました。
お茶の起源と語源は、中国にあり、
世界中のお茶を表す言語は、中国語の「茶」に由来します。
中国語といっても、北京語、上海語、広東語(カントンご)など、様々な種類があるので、「茶」の発音も、地域によって異なり、
その伝来した地域や経路によって、世界の「茶」を表す発音が異なります。
広東語(カントンご)の呼び名であった「チャ」(cha)は、陸路を伝って、アジアに、
福建省厦門(フッケンしょうアモイ)の呼び名であった「テー」(te)は、海路を伝って、ヨーロッパに。
もちろん、その例外もあります。
例えば、ポルトガルでは、当時、広東省(カントンしょう)の澳門(マカオ)を統治していた影響から、「チャ」と呼ばれています。
2. お茶の種類 ~色の違いは、発酵のレベルの違い~
緑茶(green tea)、ウーロン茶(烏龍茶)、紅茶(black tea)など、
お茶の種類は、たくさんあります。
一方、お茶の原料である「チャノキ」は、
- 中国や日本で栽培されている、1m前後の低木、元祖「チャノキ」
- インドやスリランカなどで栽培されている、6~18m程度の高木、19世紀にインドのアッサム地方で発見された「アッサム」
この2種類しかありません。
確かに「アッサム」は、紅茶の銘柄の一つとして知られていますが、
元祖「チャノキ」からも、紅茶は作られます。
では、お茶って一体、何で分類されているのでしょうか?
お茶の生葉を摘み取った状態のままで放置しておくと、葉の中に含まれている酵素の働きで自然発酵し、
お茶の葉の色は、緑、黄、白、青、紅、と変化していきます。
これに合わせて、お茶の種類は、緑茶(不発酵茶)、黄茶、白茶、青茶(ウーロン茶(半発酵茶))、紅茶(完全発酵茶)、と分類されているのです。
緑茶の緑色を維持するためには、葉を加熱して、酵素の働きを止める必要があります。
そのため、緑茶作りには、摘み取った茶葉を2時間以内に製茶工場へ運ぶという、スピーディーな対応が求められるのです。
また、茶葉自体の酵素の働きにより自然発酵させる、ウーロン茶や紅茶と異なり、
カビなどの微生物に発酵を行わせる、プーアル茶などの「黒茶」(後発酵茶)というものもあります。
紅茶は、英語で「ブラックティー」と呼ばれますので、まぎらわしいですね。
さらに、以上6種類のお茶に、花の香りをつけたものや、茶葉に花をブレンドした、「花茶」というものもあります。
緑茶に、ジャスミンの花を加えた、ジャスミン茶が代表的です。
緑茶の種類 ~味の違いは、加熱法、栽培法、飲み方の違い~
世界の産地|お茶ミュージアム|お茶の情報がギュっと詰まったウェブ博物館
世界のお茶の生産量は、紅茶がおよそ6~7割、緑茶がおよそ3~4割。
ウーロン茶は、意外にも、「その他」扱いとされています。
かつては、紅茶が圧倒的に多く飲まれていましたが、
近年は、緑茶が増加する傾向にあるようです。
(※かつては、紅茶がおよそ8割、緑茶がおよそ2割でした)
緑茶は、主に中国と日本で、生産・消費されています。
緑茶というと、すぐに日本を思い浮かべる方も多いと思いますが、
中国においても、最も多く飲まれているお茶です。
中国の緑茶と日本の緑茶の違いは、茶葉の発酵を止める加熱法にあります。
中国では、釜で炒(い)って、その発酵を止めることが多いですが、
日本では、蒸して、その発酵を止めることが多いのです。
さらに、日本茶は、その栽培法によって、
- 覆いをしない、狭義の煎茶(せんちゃ)などの「露天茶」(ろてんちゃ)
- 一定期間、日の光を遮るための覆いを施した、玉露(ぎょくろ)などの「覆い茶」(おおいちゃ)
この2つに大別されます。
また、「日本茶」は、その飲み方によって、
- 茶の葉を、煎(せん)じて(煮出しして)飲む「広義の煎茶」
- 茶の粉末(広義の抹茶)を、点(た)てて飲む「点茶」(てんちゃ)
この2つに分けることができます。
農林水産統計「平成26年産茶生産量等」によると、
日本茶のおよそ9割が「露天茶」で、
碾茶(てんちゃ)の粉末(狭義の抹茶)の原料でもある「覆い茶」は、全体のおよそ7%にしか過ぎない、高級茶です。
3. 茶道とは ~茶道の心は、おもてなしの心~
茶道(ちゃどう、さどう|tea ceremony)とは、
中国から伝わった、お茶を飲む風習が、日本独自の発展を遂げたもので、
抹茶の作法を中心とする、お茶の文化のことです。
お茶を飲む風習は、
奈良時代~平安時代の初期に、遣唐使(けんとうし)によって、日本に伝えられ、
一部の知識人の間で嗜まれました。
茶葉を蒸して、臼(うす)でついて、団子にした「団茶」(だんちゃ、茶色い団子)を削って、
火であぶり、砕いて粉にし、煎じた「広義の煎茶」に、
ネギなどの薬味を入れて飲む、というのが、当時の飲み方です。
鎌倉時代には、
宋(そう)に渡って、禅を学んだ「栄西」(えいさい)が、茶の種を日本に持ち帰り、
禅宗と共に、茶の栽培法・作法を伝えました。
高級な「団茶」を、茶臼(ちゃうす)でひいて、粉末にした「広義の抹茶」(まっちゃ、茶色い粉末)を、
茶碗(ちゃわん)に入れ、湯を注ぎ、茶筅(ちゃせん)で点てた「点茶」の始まりです。
一方、室町時代には、「茶の湯」(ちゃのゆ)という茶会が開かれ、
飲んだ水の産地を当てる「闘水」という遊戯から、
飲んだ茶の銘柄を当てる「闘茶」という博打(ばくち)が流行します。
大名たちの間では、本場中国の茶器(ちゃき)「唐物」がもてはやされ、
大金を使って収集し、
これを使って、盛大な茶会を催すこともありました。
これに対し、村田珠光(むらたじゅこう)は、茶会での博打や飲酒を禁止し、亭主と客との精神交流を重視する茶会のあり方を説きました。
これが、無駄を省く「侘茶」(わびちゃ)、人をもてなす「茶の湯」の始まりです。
安土桃山時代には、
「家は洩らぬ程(雨漏りしない程度)、食事は飢えぬ程にて、足ることなり」という言葉で有名な、千利休(せんのりきゅう)により、
茶道具を、中国の高級品から、日本独自の質素なものに改めるなど、「侘茶」の精神が確立されます。
現在では、「茶の湯」の様々な流派がありますが、本質はどれも同じで、
「茶の湯」とは、一碗(いちわん)のお茶で、どれだけお客様に感動していただけるかを追究することにあり、
「茶の湯」の本質は、おもてなしの心にあります。
- 気配り
- 礼儀と節度(礼節)
- 侘・寂(わび・さび)
- 季節や趣向
- 茶室の設計・建築、掃除
- 茶庭(茶室の庭|露地〈ろじ〉)の造園、手入れ、掃除
- 掛け軸、お茶花(茶室に飾る花)などの手入れ、調和・取り合わせ
- 茶道具の手入れ、調和・取り合わせ
- 抹茶・お菓子・懐石(かいせき、茶道の料理)の調和・取り合わせ
- 水質、お湯の温度
- 対話(言葉遣いなど)
- 立ち居振る舞い(立ち方、座り方、座る席順、お辞儀の仕方など)
- 点前(てまえ、点茶の作法)
- 喫茶(きっさ、お茶を飲む作法)
「茶道」という言葉は、唐の封演が著した『封氏聞見記』(ほうしぶんけんき)からとされていますが、
日本で「茶道」という言葉が、「茶の湯」の意味として用いられ始めたのは、17世紀中頃からとされています。
以上を、まとめますと、
「団茶」(団子) → 「抹茶」(粉末)
「煎茶」(煎じて飲む) → 「点茶」(点てて飲む)
「茶の湯」「茶湯」(ちゃとう) ≒ 「茶道」(ちゃどう、さどう)
「茶道」の心は、おもてなしの心です。
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