清潔を宣言します!
昭和7年(1932年)生まれの、ロマンスグレー(romance grey)、五木寛之(いつきひろゆき)さんです。
五木さんは、一年で、季節の変わり目のたった4回しか、髪を洗わないそうです。
ちなみに、私は、一年以上、お風呂に入っていません。
あ、シャワーには入っていますので、ご心配なく(笑)
目次
1. 入浴の頻度
2. 入浴の順序
3. 入浴の温度と時間
4. 入浴の手順
1. 入浴の頻度 ~体を洗えば洗うほど、不潔になりやすくなる~
適度な入浴は、
- 体の清潔を保ち、
- 心身の疲労やストレスを取り除き、
- 清涼感をもたらし、
- 防寒にも役立つほか、
- 筋肉の痛みや凝りを和らげ、
- 運動麻痺の機能回復訓練に利用されるなど、
医療の面でも非常に有効です。
仮に、長期間入浴せず、シャワーも浴びなかった場合、
身体の衛生状態が保たれず、
感染症(infectious diseases)を引き起こしてしまう可能性があります。
逆に、過度の入浴や洗いすぎは、
- 皮膚の角質層を破壊し、
- かゆみや皮膚炎に繋がるほか、
- 皮脂の分泌が過剰な肌「オイリースキン」(oily skin)になる、
- 薄毛「脱毛症」を引き起こすなど、
様々な弊害をもたらします。
では、
適度な入浴って一体何なのでしょうか?
どのくらいの頻度でお風呂に入れば良いのでしょうか?
…まずは、その前に、
清潔の本当の意味について理解しておきましょう。
体をよく洗うことが、清潔というわけではありません。
垢(あか)や埃(ほこり)がないことが、清潔というわけではありません。
医学的に、清潔とは、
①皮膚に、病原菌(悪玉菌)が住み着いていないこと、正常な常在菌(善玉菌)が住み着いていること
②皮膚に、適度の皮脂が乗っていること
を意味します。
入浴は、
①垢と一緒に、皮膚の正常な常在菌をも洗い流してしまいます。
②皮膚にある程度は必要な、皮脂まで洗い流してしまいます。
シャワーを浴びるだけでおよそ8割が、
お風呂に入るだけでおよそ9割が、
さらに洗うことで、そのほとんどが洗い流されてしまうと言われています。
次に入浴するまでに、
①皮膚の正常な常在菌は、病原菌が繁殖しないように、元の数に戻ろうと繁殖を続けます。
②皮膚は、皮脂を元に戻そうと分泌を続けます。
ところが、頻繁にお風呂に入る度に、
①皮膚の正常な常在菌の数が減り、病原菌とのバランスを崩します。
②皮脂の分泌の量が増えます。
…もうお分かりになられたと思います。
つまりは、
お風呂に入るスパンが短いほど、汚れやすい体になる、
お風呂に入る頻度が高いほど、不潔になりやすくなる、
ということです。
入浴の頻度は、
個人の体質やライフスタイルに大きく関係してきますので、一概に「○日に一回がいい」何てことは言いませんが、
通常の一般人の方を基準にすると、意外かもしれませんが「3日に一回で十分」です。
普段、
毎日お風呂に入っている方が、1日入らないのと、
3日に一回入っている方が、2日入らないのとでは、
意外かもしれませんが、後者のほうが清潔です。
裏を返せば、
お風呂に入るスパンが長いほど、汚れにくい体になりますし、
お風呂に入る頻度が低いほど、不潔になりにくくなります。
…でも、
「それでも毎日お風呂に入りたい!」
というのが本音ですよね?
そこで、私からのアドバイスです。
まず、
①正常な常在菌は、弱酸性を好むので、
アルカリ性の石鹸(せっけん)やボディーソープの使用は避けて下さい。
(※石鹸、ボディーソープのほとんどは、アルカリ性です)
次に、
②熱い湯は、皮脂を落としやすいので、
ぬるめのシャワーで済ませて下さい。
(※湯船には浸からない)
特に、
①②優しく肌に触れるなど、
体を洗うときには注意が必要です。
ほかにも、
2回に1回は、石鹸やボディーソープを使用しないなど、
自分なりに何か工夫をしてみるといいかもしれません。
余談になりますが、
森田一義(もりたかずよし|通称タモリ)さんや、福山雅治さんは、
湯船に10分以上浸かるだけで、石鹸などでは体を洗わないそうです。
そして、いずれは、
2回に1回は、お風呂に入らない、
つまり「2日に一回」に。
(※そして、湯船に浸かる)
…念のため、再度繰り返しますが、
入浴は「3日に一回で十分」です。
ちなみに、
皮膚常在菌は、保湿や活性酸素除去など、お肌の美容と健康にも貢献していますので、
より清潔になるだけでなく、より美しい身体になることができます。
洗髪の頻度 ~髪を洗えば洗うほど、薄毛になりやすくなる~
頭も体と同じです。
①頭皮にも皮脂膜があり、正常な常在菌が住み着いています。
②頭皮にも、適度に皮脂が乗っています。
これらが、頭皮の清潔、美容と健康に貢献しているのです。
頻繁に髪を洗う度に、
①頭皮の正常な常在菌の数が減り、病原菌とのバランスを崩します。
②皮脂の分泌の量が増えます。
③頭皮の角質層が削られ、それを頭皮が修復しようとして、頭皮の新陳代謝が過剰になります(フケが出ます)。
④髪のクチクラ層(cuticle、キューティクル)が傷つき、枝毛になったり、その傷のところに垢や埃が付着しやすくなります。
つまり、
髪を洗うスパンが短いほど、汚れやすい頭になる、
髪を洗う頻度が高いほど、頭が不潔になりやすくなる、
ということです。
そこで、私からのアドバイスです。
まず、シャンプーには、アルカリ性のものと、弱酸性のものとがありますが、
アルカリ性の場合、必ずと言っていいほど、リンスやコンディショナーがセットになっていますので、
リンスやコンディショナーは、同じメーカーのものを使用して下さい。
リンスやコンディショナーは、
①シャンプーのアルカリ成分を中和させ、
②皮脂を補い、
③④その他、シャンプーの刺激とのバランスを取ります。
ですので、
リンスやコンディショナーを使用しない、あるいは、他のメーカーのものを使用すると、
シャンプーの刺激とのバランスを崩します。
次に、髪を洗うときには、
③爪を立てずに、指の腹で、頭皮全体を、優しくマッサージしてあげましょう。
くれぐれも頭皮を傷つけないように。
かゆみやフケの原因になります。
続いて、髪を洗った後は、
①②③④ぬるま湯で、しっかり、すすいであげることが重要です。
シャンプー、リンスやコンディショナーなどの洗剤や、
ヘアワックス、ヘアスプレーなどの整髪料が、
髪に残らないようにしてあげましょう。
余談になりますが、
近年、欧米のセレブの間では、シャンプーを使わない洗髪「ノー・プー」(No Poo|ノー・シャンプー、No shamPoo)なんてのが流行っているみたいです。
シャンプーが広く使われる様になったのは、1970年代からで、
庶民のシャンプーの歴史は、ほんのここ数十年のこと。
人類の永い歴史から見れば、
シャンプーを使わないのが当たり前で、むしろ、
シャンプーを使うのが流行りなのかもしれません。
昔の方は、洗髪そのものが、
週に1回とか、月に1回とか、年に1回とか…
そもそも、髪を洗わないとか。
清潔の定義について、見直してみてはいかがでしょうか?
2. 入浴の順序 ~一番風呂は、何とやら~
「一番風呂は、家長の特権」なんていう言葉があります。
誰も入っていない「新湯」(あらゆ、さらゆ、しんゆ|更湯〈さらゆ〉とも)は、不純物が少なく、清潔ですし、
自分以外の垢や、体毛、体液の混じった風呂に入るのは、気分が良くないからです。
ですが、一方で、
「さら湯は、身の毒」というように、「一番風呂は、身体に良くない」とも言われます。
①浴室が温まっていないので、
身体が冷えてしまいますし、
浴室と湯船との温度差が大きいので、身体に負担がかかってしまいます。
②さら湯は、不純物が少ないので、
熱の伝わり方が急で、お肌への刺激が強く(ビリビリ、チクチク)、また、
浸透圧の作用で、皮脂や、ナトリウム、カリウムなどのミネラルを、お湯にとられてしまいます。
つまり、二番目以降に入る方が、
①前に入った方が、浴室を温めてくれますし、
②前に入った方のミネラルなどが溶け込んで、
身体に負担が少なく、お肌にもやさしいです。
「それでも一番風呂に入りたい!」という方は、
①あらかじめ、浴室を温めて、
②入浴剤などで、さら湯の負担をなくせば、
…優雅じゃあないでしょうか(笑)
3. 入浴の温度と時間
入浴の温度は、
欧米では「微温湯」(ぬるまゆ、ぬるゆ、びおんとう|36~38℃)が、好まれるのに対し、
日本では「熱い湯」(42℃~)が、昔ながらに好まれる傾向にあります。
「ぬるま湯」が、副交感神経を刺激し、抑制作用(リラックス効果)をもたらすのに対し、
「熱い湯」は、交感神経を刺激し、興奮作用(ストレス効果)をもたらすなど、
その神経系への作用は、対照的です。
「ぬるま湯」は、就寝前の入浴に、
「熱い湯」は、活動前の入浴など、
場合によって、使い分けてみるのもいいかもしれません。
湯船に浸かる時間は、
「ぬるま湯」が、およそ20分くらい、
「熱い湯」は、およそ10分くらいが適当とされています。
ちなみに、
体内で消費される酸素の量(≒入浴による疲労)は、
熱くもなく、冷たくもない、体温に近い温度「不感温度」(36~37℃)を基準にすると、
38~39℃で、およそ10%
40℃で、20~30%
42~43℃で、およそ40%
と湯船の温度が上がるに連れて、増えていきます。
ヒートショックプロテインで、シミ・シワを防ごう!
熱いお湯に浸かるなど、身体が熱などの刺激を受けると、
その刺激に対抗するために、「熱ショックタンパク質」(Heat Shock Protein、HSP|ヒートショックプロテイン)というタンパク質が作られ、
シミ、シワの予防になることが知られています。
ヒートショックプロテインは、
メラニンの過剰な生成を抑制し、シミになるのを防ぎます。
コラーゲンを分解する酵素の働きを弱めるため、シワの予防にもなります。
しかも「免疫力を高める」とも言われ、お肌にも身体にも良いこと尽くめです。
ヒートショックプロテインは、熱などの刺激を受けてから、2日間増え続けるので、
週1、2のペースで、41℃くらいのちょっと熱めのお湯に、15分程度浸かるといいかもしれません。
4. 入浴の手順
目次
STEP0. 食後
STEP1. 入浴前
STEP2. 入浴後
STEP3. 浴室から出た後
STEP0. 食後1時間は、入浴を避けるようにしましょう
入浴中は、血液が皮膚に集中し、消化器の血液の量が不足して、消化が悪くなるので、
食後1時間は、入浴を避けるようにして下さい。
特に、飲酒後の入浴は、
血管拡張作用が重なって、より血液が皮膚に集中し、
脳や心臓の血液の量が不足して、脳貧血(のうひんけつ、cerebral anemia)や循環虚脱(じゅんかんきょだつ、circulatory collapse)を引き起こすことがあるので、
絶対に避けて下さい。
STEP1. 入浴前には、かけ湯をするなど、全身に準備反応を与えましょう
「熱い湯」にいきなり入ると、
まず、湯の高温による急激な影響を受けないように、皮膚の血管が収縮して、血液を皮膚表面から遠ざけて深部へ送る現象がみられます。
この結果、皮膚に鳥肌が立ち、肌が青白くなり、脳や腹部の内臓に血液が集まって充血し、
血圧が上がります。
続いて、湯船に身体を沈めていくと、
水圧によって、動脈よりも壁が薄い、腹部の静脈などは圧迫されてつぶれ、
血管内の血液を押し出すために、心臓へ戻ってくる血液の量が一時的に多くなり、
心臓への負担が大きくなります。
健康な方もそうですが、特に、
高血圧、動脈硬化、心臓病の方がいきなり「熱い湯」に入るのは、非常に危険ですので、
入浴前には、かけ湯をするなど、全身に準備反応を与えて下さい。
「ぬるま湯」では、こうした反応は顕著ではありませんが、念には念を入れておいてはいかがでしょうか?
STEP2. 入浴後は、ゆっくりと立ち上がりましょう
湯船に浸かって、しばらくすると、
体温が上昇して、熱を外へ逃がすために、皮膚の血管が拡張して充血し、
脳や腹部の内臓の血液の量が少なくなります。
この状態で、急に立ち上がると、重力によって血液が足に溜まってしまい、
目眩(めまい)や立暗み(たちくらみ)など、いわゆる「起立性-低血圧」(きりつせい-ていけつあつ、orthostatic hypotension)を引き起こします。
健康な方もそうですが、特に、
低血圧の方が急に立ち上がると、脳貧血を起こして倒れたりすることがあるので、
入浴後は、ゆっくりと立ち上がって下さい。
浴室から出る前に、膝(ひざ)から下に、水をかけてみるといいかもしれません。
STEP3. 肌についた水滴は、十分に拭き取りましょう
浴室から出た後は、
すぐに、
乾いたバスタオルで、肌についた水滴を、十分に拭き取って下さい。
しかし、それだけでは不十分なので、
ドライヤーで、髪と一緒に、全身を乾かしてしまうと、なお良いでしょう。
くれぐれも風邪を引かないように注意して下さい。
自分の入浴を見直して、
自分の体質やライフスタイルを見極めて、
あなただけのバスライフ(bath life|入浴生活)を手に入れて下さいね。
以上です。
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