「信は、知を補完する」
宗教は、人類の知を補完する形で発展してきました。
宗教上の教義や呪術は、歴史的・文化的に重要な意義を持っています。
例えば、宗教上の教義は、個人ないし集団の規範(道徳ないし法)の形成に影響を与えていますし、
呪術は、冠婚葬祭(かんこんそうさい)など、私たちの生活から切り離せないものとなっています。
目次
1. 宗教とは ー宗教の定義ー
2. 世界の宗教 ー宗教の分類ー
1. 宗教とは ー宗教の定義ー
宗教(religion)の定義は、非常に難しいものです。
「宗教とは、神仏など自然を超える(超自然的な)存在を中心とする、教義(dogma)や呪術(magic)」
一般には、このように定義されています。
もう少し、学術的なものになると、
「宗教とは、聖(超自然)と俗(自然)を二分する、思想や観念の体系」
こうしてみると、宗教も命題の体系をなしており、真偽の判断の対象となるので、ある種の理論ともとれそうです。
しかし、宗教は超自然的な根本原理を前提としているので、証明も反証もできません。
そこで、
「宗教とは、人々によって信じられている、営みを中心とした文化現象」
宗教そのものを歴史的・文化的な事実として捉えたり、
「宗教とは、信じて安らぎを得ようとする心の働き」
宗教の機能的な側面に焦点を当てることが多いです。
ちなみに、私は、
「科学が正しいかどうかを問題にするのに対し、宗教は信じてよかったかどうかを問題にするもの」
そう思っています。
2. 世界の宗教 ー宗教の分類ー
上の表は、世界の宗教人口の構成比です。
この表から、キリスト教、イスラム教などの「ヘブライ語古文書の宗教」が半数を占めていることが分かります。
ヘブライ語古文書の宗教 ~3宗教の違いは、どこまで信仰するかの違い~
ヘブライ語古文書の宗教の共通点は、「ヘブライ語古文書」の一部を、聖典(聖書)として扱っていることです。
ヘブライ語古文書は、上記3宗教の文化圏では、古代文明の詳細が明らかになるまで、世界最古の書として信じられていました。
ヘブライ語古文書は、ある種の物語を綴っていて、エンタメ性もあり、普通に文学として楽しめる内容になっています。
神(かみ)という創造主がいて、
天使(てんし)という使者を使い、
預言者(よげんしゃ、神の言葉を預かる者)を媒体として、人類との交信を図ろうとします。
そして、ヘブライ語古文書には、続編が存在します。
イエスの誕生(西暦)に始まる「ギリシア語古文書」と、7世紀前半の「クルアーン」です。
ちなみに、クルアーン(あるいはコーラン)とは、イスラム教で最後の預言者とされている、ムハンマド(あるいはモハメッド)の言葉をまとめたものです。
・ヘブライ語古文書
アブラハム ~パレスチナ問題の原点~
パレスチナ問題とは、パレスチナ(旧カナン)の地を巡る、領土問題です。
ヘブライ語古文書には、
「神は、アブラハムの子孫に、パレスチナを与えた」
「ユダヤ人とアラブ人は、アブラハムの子孫である」
旨の記述があります。
これらをまとめると、
「パレスチナは、ユダヤ人とアラブ人の領土」ということになるはずです。
ところが、
ユダヤ教、キリスト教では、「ユダヤ人」を正統とし、
イスラム教では、「アラブ人」を正統としています。
この問題は、第一次世界大戦中(1914~1918年)、イギリスの三枚舌外交によって本格化することになります。
- アラブ人と、パレスチナにおけるアラブの独立を、約束
- ユダヤ人と、パレスチナにおける居住地建設を、約束
- フランス・ロシアと、パレスチナを国際管理下にすることを、密約(※ロシア革命による新政権によって暴露)
→イギリスによるパレスチナの委任統治(1920~1948年)
→パレスチナの分割(イスラエルとパレスチナ)
→中東戦争(1948年~)
・ギリシア語古文書
イエス ~聖霊による懐胎~
処女であるはずのマリアに授かった子、イエス(あるいはイーサー)。
彼がいったい何者かについては、議論があります。
キリスト教では、神と聖霊、イエスを一体として捉え、イエスを「キリスト(救世主)」として崇め、
イスラム教では、聖霊とは預言者の資格に過ぎないとし、イエスを「預言者」として位置付けます。
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